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「キャッシュ・フロー経営」で会社の安全性を高めよう!

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コロナ禍で何らかの危機を経験した多くの経営者にとって、安全な経営スタイルの確立は急務でしょう。そこで登場するのが「キャッシュ・フロー経営」です。キャッシュ・フロー経営は、現金を重視した安全性の高い経営を行うための1つの手法です。

 

キャッシュ・フロー経営とは?

キャッシュ・フロー経営とは、会社のキャッシュ・フロー、言い換えると「現金収支」を重視した経営手法です。会社の利益は会計のルールに従って計算されますが、これは現金収支と一致しません。

なぜ会社の利益と現金収支は一致しないのか 

会計上の利益とは、収益と費用の差です。なぜ会社の利益と現金収支が一致しないかというと、収益と費用はそれぞれ実現主義・発生主義のもと、現金収支とは異なるタイミングで計上するためです。

 

わかりやすいのが、売掛金や買掛金、減価償却費でしょう。たとえば、3月決算法人が3月15日に1,000万円の商品を売り上げ、翌期の4月15日に売上金を回収したとします。

 

<3月15日の仕訳>

借方

金額

貸方

金額

売掛金

1,000万円

売上

1,000万円

 

<4月15日の仕訳>

借方

金額

貸方

金額

現金

1,000万円

売掛金

1,000万円

 

この場合、決算時には1,000万円の利益が計上されていますが、それに対応する資産は「売掛金」のままで現金化されていません。つまり利益は1,000万円あっても、増えた現金は0円なのです。売掛金を短いサイクルで回収できれば問題ありませんが、回収がうまくいかないと、平時の支払いもできなくなってしまいます。

 

また、固定資産を購入したときは、減価償却により、使用を開始したときから少しずつ費用化を行います。

たとえば、期首に取得価額500万円、耐用年数10年の機械装置を購入したとします。

 

<4月1日の仕訳>

借方

金額

貸方

金額

機械装置

500万円

現金

500万円

この場合、決算時に12ヵ月分の減価償却費を計上します。

 

<3月31日の仕訳>

借方

金額

貸方

金額

減価償却費

125万円(※)

減価償却累計額

125万円

 

(※)定率法10年の償却率0.250 

500万円×0.250=125万円

 

このように当期は500万円の現金が減っていますが、それに対して計上される費用は125万円です。翌期からは減価償却費のみが計上され、現金は減りません。また、大きな設備投資を行うときは割賦で支払ったり、融資を受けたりすることもあると思います。そうなると割賦払いや融資の返済のタイミングで会社の現金が減少するため、ますます利益と現金収支が合わなくなります。

利益があっても倒産する?

利益が出ているときは、さらなる売上拡大のため設備投資や販路拡大のための戦略を立てるでしょう。しかし、前述のとおり利益だけを見ても、会社が投資できる現金は把握できません。もし会社の利益の増加に現金の増加が伴っていなければ、新たな設備投資や借入をするとその後の支払いや返済で行き詰まるでしょう。

 

そうすると黒字なのに銀行取引停止処分を受けたり、最終的に債務整理に踏み切るしかなくなってしまうことが起こり得ます。これが黒字倒産です。

 

キャッシュ・フロー経営では現金の収支で、設備投資などの経営判断を行うことにより、黒字倒産などのリスクを回避することができます。

 

キャッシュ・フロー経営のメリット

キャッシュ・フロー経営には、大きく分けて2つのメリットが存在します。

経営の安定性が上がる

キャッシュ・フロー経営は会社の現金(現金同等物を含む)に着目して設備投資などの適否を判断します。投資や借入の限界を的確に判断することにより、安定した経営が実現できます。

経営指標にしやすい

会社の利益は、たとえば減価償却の方法や棚卸資産の評価方法などを変更すれば変わるという面がありますが、現金は現物であるため、このような方法で操作できません。いくら使えるかが決まっているため、実現可能な戦略を立てることができます。

 

キャッシュ・フロー計算書とは

キャッシュ・フロー経営を行うには、まず決算書や試算表などの数字から安全に投資できる現金がいくらあるかを把握することが重要です。それでは、どのようにして把握すればよいのでしょうか。代表的なものに、「キャッシュ・フロー計算書」の作成があります。

 

キャッシュ・フロー計算書とは、金融商品取引法によって上場企業が有価証券報告書と併せて提出することが義務付けられている書類の1つです。 会社法では作成が義務付けられていないため、中小企業では作成しない会社も少なくありませんが、キャッシュ・フロー経営では大切な書類となります。

 

キャッシュ・フロー計算書には、キャッシュ・フローが生まれる活動ごとに金額を表示します。活動ごとに金額を分けることで、より経営に役立つ情報を示すことができます。

 

キャッシュ・フローの種類

キャッシュ・フロー計算書は、企業のキャッシュ・フローを以下の項目に区分して作成します。

 

・営業活動によるキャッシュ・フロー

・投資活動によるキャッシュ・フロー

・財務活動によるキャッシュ・フロー

  

営業活動によるキャッシュ・フローとは

営業利益または営業損失の計算の対象となる取引に関係するキャッシュ・フローです。売上や仕入、販売費及び一般管理費などによる企業の主要な活動から生じた現金のことを指します。

 

営業活動によるキャッシュ・フローの表示方法には、営業収入や人件費など取引ごとに生じた現金からキャッシュ・フローを表示するもの(直接法)と、税引前当期純利益を起点に、減価償却費などキャッシュの流出がないものを加算したり、売掛金など現金化されていないものを減算したりしてキャッシュ・フローを表示するもの(間接法)があります。

 

よく使用されるのは、間接法です。

 

【間接法の例:項目は企業によって変わる】

1.営業活動によるキャッシュ・フロー

税引前当期純利益

減価償却費

売上債権の増減額

棚卸資産の増減額

仕入債務の増減額

小 計


投資活動によるキャッシュ・フローとは

将来、利益を生むための投資活動の収支によるキャッシュ・フローのことです。有価証券や固定資産の取得・売却による収支、貸付やその回収による収支を表示します。

 

【例:項目は企業によって変わる】

2.投資活動によるキャッシュ・フロー

定期預金の預入による支出

投資有価証券の売却による支出

土地の購入による支出

小 計

 

なお、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計を「フリーキャッシュ・フロー」といいます。「フリー」という名のとおり用途が決まっておらず、自由に使える現金を示しています。

財務活動によるキャッシュ・フローとは

借入による収支、社債発行による収支、株式発行による収入、自己株式の取得による支出などの財務活動に関係するキャッシュ・フローです。

 

【例:項目は企業によって変わる】

3.財務活動によるキャッシュ・フロー

短期借入による収入

短期借入の返済による支出

社債の発行による収入

小 計


キャッシュ・フロー計算書の作成例

次の簡単な貸借対照表・損益計算書で、キャッシュ・フロー計算書がどうなるかを見てみましょう。貸借対照表は、必要な科目だけ期首の値を記載しています。

 

【貸借対照表】

資産の部

負債の部

現金預金(期首:200)

220

買掛金(期首:350)

400

売掛金(期首:400)

500

未払法人税

30

繰越商品(期首:200)

300

純資産の部

固定資産

1,180

資本金

200

減価償却累計額

-900

利益剰余金

670

資産合計

1,300

負債・純資産合計

1,300

 

【損益計算書】

Ⅰ 売上高

1,000

Ⅱ 売上原価

700

 ・期首商品棚卸高

200

 ・当期商品仕入高

800

 ・期末商品棚卸高

300

売上総利益

300

Ⅲ 販売費・一般管理費

 

 ・給与

100

 ・減価償却費

40

営業利益

160

経常利益

160

税引前当期純利益

160

法人税等

30

当期純利益

130

 

【キャッシュ・フロー計算書】 

1.営業活動によるキャッシュ・フロー

税引前当期純利益

160

減価償却費

40

売上債権の増減額

▲100(※)

棚卸資産の増減額

▲100(※)

仕入債務の増減額

50(※)

小 計

50

法人税等

30

営業活動によるキャッシュ・フロー

20

2.投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動によるキャッシュ・フロー

0

フリーキャッシュ・フロー

20

3.財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動によるキャッシュ・フロー

0

現金及び現金同等物の増加額

20

現金及び現金同等物の期首残高

200

現金及び現金同等物の期末残高

220

 

(※)プラス・マイナスの考え方

売上債権や棚卸資産(売掛金・繰越商品)など資産の増加は、まだ現金化されていないものが増えているためマイナスとなります。これに対し、仕入債務(買掛金)の増加は、現金がまだ支払われていない(会社に残っている)ためプラスとなります。

 

上記の会社の当期純利益は130です。非常によい業績でしたが、売掛金と期末在庫が多いため、キャッシュ・フローの増加は20にとどまっていることがわかります。これにより、まだ大きな設備投資は避けたほうがよいという判断ができます。

 

キャッシュ・フロー経営で自社の弱点を強化しよう

上記のキャッシュ・フロー計算書は単純ですが、実際の企業活動はもっと複雑です。作成義務のない企業にとって書類を作成することは、面倒に感じる場合もあるでしょう。また、「キャッシュ・フロー経営を導入するぞ!」と決めても、キャッシュ・フローからどう判断するかは経営者次第です。

 

しかしながら、今回のコロナ禍で多くの経営者が収入の減少という緊急事態に直面したと思います。会社でいくら使えるのかを考えたとき、キャッシュ・フローを意識した経営者は多いでしょう。特に企業のキャッシュ・フローは、営業活動から生み出されるものがほとんどですが、有事に備えて今後は「投資活動によるキャッシュ・フロー」も見直すとよいでしょう。

 

キャッシュ・フロー経営から見えてきた自社の弱点を、今後の経営にうまく取り入れていくとよいでしょう。

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