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税金・節税対策

個人事業主が納める税金とは?種類ごとの税率や納税方法を解説

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個人事業主が納める税金とは?種類ごとの税率や納税方法を解説
個人事業主は給与所得ではないことから、確定申告をして所得税や消費税などを納税する必要があります。そのため、事業を円滑に運営するためには、正しい知識を身につけて、納税額の見通しを立てることが大切です。

この記事では、個人事業主に関わる主な税金の基礎知識を解説します。

個人事業主が納める税金とは?

個人事業主が納める税金とは?

個人事業主が納税する主な税金は、消費税、所得税、事業税、住民税の4つがあります。加えて、土地や建物といった固定資産を保有していれば、固定資産税の納税が必要です。

消費税

消費税は、前々年度(基準期間)あるいは前年1月から6月(特定期間)の売上において、消費税の対象となる売上が1,000万円超の個人事業主は確定申告・納付が必要です。

消費税の税額の計算方法には、原則課税方式、簡易課税方式の2つがあります。

原則課税方式 消費税額=課税売上高×10%-課税仕入高×10%
※軽減税率の場合は「10%」を「8%」に変更して計算
簡易課税方式 消費税額=課税売上高×10%-課税売上高×10%×みなし仕入率
※軽減税率の場合は「10%」を「8%」に変更して計算

消費税は自宅へ納税額が通知されたら、現金振込、口座振替、e-taxによる電子納税から選んで支払います。

所得税

所得税は、1月1日から12月31日までの1年間に得た所得(売上から必要経費を差し引いた金額)に課される税金です。課税対象期間の翌年2月16日~3月15日の期間に確定申告することで、納税額が決まります。

所得税の税額は「所得税額=課税所得額(所得-所得控除額)×税率-控除額」で計算されます。税率は所得金額に応じて高くなる累進課税率で5%~45%となっています。

所得税は確定申告の期間に支払います。現金振込、口座振替、e-taxによる電子納税のほか、コンビニ払い(QRコード)やクレジットカード払いにも対応しています。

事業税

事業税(個人事業税)は、地方税法に定められる事業を行う個人事業主に課されます。所得税と同じく、納税額は所得によって決定され、課税対象は事業所得290万円超からです。また確定申告と同時に事業税の申告も完了します。

事業税は「事業税額=(所得-各種控除)×税率」の計算式で求められます。

事業税の税率は業種により異なり、3~5%となります。対象となる業種は全70種で、該当しない事業を営む個人事業主は対象外です。詳しくは各自治体の公式サイトを確認してください。

区分 税率 主な事業
第1種事業
(37業種)
5% 販売業、飲食店業、保険業、出版業、製造業、運送業ほか
第2種事業
(3業種)
4% 畜産業、水産業、薪炭製造業
第3種事業
(30業種)
5% 医業、弁護士業、コンサルタント業、デザイン業、理容業ほか
3% あんま・マッサージまたは指圧・はり・きゅう・柔道整復、その他の医業に類する事業

事業税は、現金振込、口座振替、e-taxによる電子納税、コンビニ払い(QRコード)、クレジットカード払いに対応しています。ただし、各都道府県により対応が異なる場合もあります。

住民税

住民税は、毎年1月1日時点に居住地のある市区町村に納税する地方税のことです。所得に関係なく課される「均等割」と所得に応じて課される「所得割」のふたつから成り立っています。

所得割の計算方法は「所得割額=(所得-所得控除額)×税率(10%)-控除額」

住民税の均等割は、都道府県民税額1,500円と区市町村民税額3,500円を合わせた5,000円が課されます。自治体によって増税や減税を行っているところもあります。

東京都の場合、令和5年まで計5,500円が課され、所得割を加えた金額が住民税の納税額となります。(令和5年まで防災対策として500円が加算)。

出典:東京都主税局「個人住民税」

納付書指定の金融機関やコンビニなどで納めましょう。クレジットカードに対応する自治体もあるため確認しましょう。

その他の税金

個人事業主に課される税金には他にも、建物や自動車など一定額以上の固定資産を購入したときにかかる固定資産税があります。また、国民健康保険税(保険料)の納付も必要です。

確定申告をする際は、漏れがないように確認を怠らないようにしましょう。

個人事業主の税金の支払いタイミングは?

個人事業主の税金の支払いタイミングは?

納税額は前年度の所得で決まります。納付するタイミングをあらかじめ把握しておきましょう。

消費税

消費税は申告と支払いは課税期間の終了から3ヵ月以内、つまり3月末と決められています。自宅に納付書が届き次第、すみやかに納付しましょう。口座振替で支払う場合のみ、納付期限を3月末から4月下旬に延長できます。

所得税

原則として、所得税の支払期限は確定申告の申告期限と同日の3月15日です。消費税と同じく、口座振替のみ4月下旬に延期します。

納税額の2分の1までを5月末まで延納できる制度もありますが、延納した税額に利子が上乗せされる点に気をつけましょう。

事業税

事業税は、確定申告後、8月に送られる納付書に従って8月と11月の2回に分けて納めます。ただし、納税額が1万円以下の場合は8月の1回で納付を完了します。

住民税

住民税は4期で分納します。自治体により異なりますが、期限はおおむね次のとおりです。

・第1期:6月末日(6月中に条例で定める日)
・第2期:8月末日(8月中に条例で定める日)
・第3期:10月末日(10月中に条例で定める日)
・第4期:翌年1月末日(1月中に条例で定める日)

その他の税金

固定資産税も住民税と同じく4回に分けて支払います。

・第1期:4月末日(4月中に条例で定める日)
・第2期:7月末日(7月中に条例で定める日)
・第3期:12月末~1月初め頃(12月中に条例で定める日)
・第4期:翌年2月末日(2月中に条例で定める日)

国民健康保険税も分納です。8~10回ほどに分けて納付します。納付回数や期限は自治体により異なるので、事前に確認しておくと安心です。

個人事業主が最低限知っておきたい節税方法

個人事業主が最低限知っておきたい節税方法

税金を支払う義務はありますが、出来る限り抑えたいと考える方も多いのではないでしょうか。最後に個人事業主が知っておきたい節税方法を3つ紹介します。

確定申告は青色申告で

確定申告には白色申告と青色申告があります。青色申告で確定申告を行うと、65万円の特別控除を受けることができます。他にも、赤字を黒字と相殺して税金を抑える繰越控除など、メリットが多くあります。

青色申告で確定申告を行うには、事前に申請や複式簿記による記帳など複雑な手続きが必要です。

確定申告についての注意点はこちらの記事からご確認いただけます。
「確定申告はいくらから必要?副業をはじめたら知っておきたい基準や注意点」

個人事業主のための「小規模共済」への加入

会社員にとっての退職金の代わりとして、個人事業主におすすめなのが「小規模共済」です。毎月1,000~7万円までの掛金の全額を所得控除できるため、将来に備えながら節税もできます。

経費を増やす

所得税や住民税、事業税は所得に応じて納める税金が決まります。所得は売上から必要経費を差し引いた金額です。そのため、日頃から経費をもれなく記帳して所得を圧縮する意識が大切です。

まとめ

個人事業主は主に4種類の税金を支払う可能性があります。税金の正しい知識を有していれば、安心して節税することもできるでしょう。個人事業主として安定した事業運営を行うためにも、ぜひ納める税金の概要を理解しておきましょう。